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機関の摩擦損失馬力は、機関の大きさ、回転数による影響が強く、また回転数が一定の場合、平均有効圧力の大小によってはまったく変らない。従って排気タービン過給機付の場合は、平均有効圧力が上昇し、有効仕事量も増加するが摩擦損失は余り変化しないので機械効率が向上する。
?馬力あたりの燃料消費量が少ない
機械効率の向上に伴い、燃料消費率を無過給機関に比較して2〜10%向上することができる。
?排気タービン過給機の駆動に軸出力を使用しない
機関と直結が、または単独でコンプレッサを駆動する過給機は、出力の5〜10%がコンプレッサ駆動に消費されるが、排気タービン過給機は、コンプレッサ駆動のための損失がない。
?排気タービン過給機と機関に機械的な連絡がない
機関と機械的な連絡がないので、機関の回転数に関係なくクランク軸の所要出力が大きくなると、排気の持つエネルギーも大きくなり、自動的に過給機軸の回転が上昇して、吸入空気圧力も高まり、機関の使用状態に適した運転ができる。
このため機関の正回転、逆回転にも関係ない。
?消音作用がある
排気ガスタービン過給機は、排気の爆音を少なくする作用が強いので、排気サイレンサは簡単なもので充分である。
(b)欠点
?燃焼室周辺の温度が無過給機関に比べて少し高温になる。
排気温度は吸気温度の変化に対して、2・198図のように変る吸気温度10℃の上昇に対し、排気温度はシリンダ出口で18〜23℃位上るが、この傾向は高速エンジン程大きく、吸気温度上昇分の約2〜3倍位高くなる。
?最高爆発圧力が上昇するので、機関の振動が大きくなるまたシリンダヘッド締付けトルクも高くする必要がある。

 

 

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2・198図 吸気温度と排気温度の関係

 

 

 

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